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  • [Domino]ノーツドミノとは

    [Domino]ノーツドミノとは

    ノーツドミノとは

     ノーツドミノとはコンテンツマネジメントシステム(CMS)のひとつです。
     文字コードが異なる複数の国の文字をひとつの文書に表示するためにロータスマルチバイト文字セット (LMBCS) というノーツ固有のユニコードが使われ、文書を保存・検索するためにつくられた付属のデータベースに保存されます。
     機密文書を扱えるように表示・編集などのセキュリティは非常に細かく、やろうとおもえば段落ごとに設定することができます。

     ノーツドミノに付属するデータベースは分散型で、国・企業や言語が異なるサーバにも情報を複製して配置でき、ひとつのサーバが止まってもクライアントがサーバを切り替えて業務を継続できます。

     厳密には『ドミノ(Domino)』がサーバーソフトウエアで、『ノーツ(Notes)』がクライアントソフトウエアになります。クライアントソフトウエアには、ブラウザーやスマートフォンからサーバーにアクセスする『ノマド(Nomad)』があります。

     また、ノーツドミノはアプリケーションを開発・実行するアプリケーションプラットホームでもあります。開発環境は専用ソフトをパソコンにインストールして使います。オブジェクト指向言語によるプロコード開発だけでなく、マウスで選択していくノーコード開発や、関数を使ったローコード開発もできます。
     統合開発環境(IDE)は Eclipse をベースにしたデザイナー(Domino Designer)や、ブラウザーアプリを簡単に開発するためのリープ(Domino Leap)があります。

     ドミノはメールの送受信や中継をするメールサーバでもあります。コンテンツマネジメントシステム(CMS)としてメールをデータベースに蓄積することや、アプリケーション開発プラットホームとしてメールを受信や中継するタイミングで動くアプリケーションを開発することができます。

     ノーツドミノに付属または作ったアプリケーションが、グループウエアとして皆で協力して業務を進めるツールになります。グループウエアといえばノーツと言われた時期があります。

    用途

     ノーツドミノは次の用途で企業や企業グループ向けに使われます。

    • 有用な社内文書を蓄積・分類・共有・検索ができます
    • 少ないコストで業務アプリをつくれます
    • 電子申請(ペーパーレス)ができます
    • 社内外のメールの送受信と蓄積・分類・共有・検索ができます
    • メールのように、文書に添付ファイルを添えて保存できます

    終わったか?

     近ごろもノーツドミノ話題として、『ノーツドミノが終わった』『ノーツドミノのサポートが終わった』というお話を聞くことがあります。これは10年前に発売された古いバージョンのサポートが終わったという意味です。新しいバージョンは出続けていますし、当然にサポートがあります。

    高いか?

     他にも『ノーツドミノのライセンスが高い』というお話しを聞きます。ノーツドミノはIDあたり月950円です。(HCL Dominoの価格(料金・費用) – ITreview
     実際にノーツドミノからシェアポイントやセールスフォースへ移行したお客様のお話しでは『ノーツドミノのライセンスは安かった』と聞いています。ノーツドミノは開発環境やデータベースまで含んだオールインワンのソフトウエアで、追加のライセンスなしで使えます。後付けされたリープやセームタイム(Sametime)には別途ライセンスが必要だったとおもいますが、これが無ければ使えないものではありません。
     ノーツドミノ以外の良く比較されるソフトウエアは単機能であることが多いため複数の製品を組み合わせて使います。(SharePoint Online のオプションの比較 – Microsoft) それぞれにライセンス料がかかるため『トータルではノーツドミノが安い』となります。
     開発や維持管理までお話しを拡げると、ノーツドミノはノーツドミノを知れば使いこなせます。 複数のソフトウエアを組み合わせると、それぞれの製品を知ることはもちろんですが、組み合わせによってできる/できないというところまでわからないと使いこなせないため必要なエンジニアの数が激増します。 エンジニアの人件費合計も『ノーツドミノは安い』となります。

    実際のところノーツはいくらするの?

     ノーツドミノを導入するといくらかかるかコストを試算してみましょう。

    ライセンス料金

     ライセンスは月950円ですから、年11,400円になります。

    サーバー料金

     サーバーはIntel(AMD不可)の2コアCPUと8GBメモリーと3GBの空きディスク容量があればOKです。(システム要件 – HCL Domino

    VPS

     プロバイダのVPSを使えばインターネット経由でアクセスできます。
     例えば、さくらのVPS W8Gプラン(メモリ8GB、SSD400GB)なら要件を満たし、年107,690円になります。(さくらのVPS for Windows Server

    ミニPC

     ミニPCなら10万円で買えるものがありますし、ディスクが少ないモデルでは3万円でも買えそうです。
     社内にミニPCを置くことになるとおもいますが、インターネットからアクセスするばあいは固定IPアドレスが必要になります。

    クラウド

     Amazon・Google・Microsoftなどのクラウドでもノーツドミノは動きますが、金額の試算が難しいためここでは言及しません。

    エンジニアの料金

     最初の導入や、プロコードを使った複雑な業務アプリケーションをつくるのはエンジニアにやってもらったほうがいいと考えます。

     最初の導入でやってもらう内容をギュッと厳選すれば、過去には2日でおこなった実績があります。

     業務アプリケーションの開発では、内容によって幅が広いですが、ひとつ5日くらいでしょうか。

     エンジニアが月120万円くらいなので、1日なら6万円くらいです。週1日でお願いすると年300万円くらいになります。
     アシスタントエンジニアなら半額くらいになるとおもいますが、高度なことができなかったり、エンジニアよりも時間がかかって割高になるため注意しましょう。
     経験では、エンジニアとアシスタントエンジニアを組み合わせると割安になります。

    ノーツの合計金額

     それではノーツドミノを使うといくらかかるか総コストを出してみましょう。

    自力で構築・運用するばあい

     さくらのVPS W8Gプランのばあいでは、ひとりで使うなら年119,090円5人で使うなら年164,690円(ひとりあたり年32,938円)、10人で使うなら年221,690円(ひとりあたり年22,169円)、100人で使うなら年1,247,690円(ひとりあたり年12,477円)になります。

     10万円のミニPC(電気代含まない)を3年間使ったばあいでは、ひとりで使うなら年44,733円5人で使うなら年90,333円(ひとりあたり年18,067円)、10人で使うなら年147,333円(ひとりあたり年14,733円)、100人で使うなら年1,173,333円(ひとりあたり年11,733円)になります。

     これでライセンスとサーバーが用意できましたので、ノーコードやローコードなどを使って一般ユーザーが頑張れば業務アプリケーションをつくることができます。文章の共有は十分できます。
     外部のエンジニアに頼らずに開発と管理をする企業がありますので、十分に現実的です。

    少しだけエンジニアに頼るばあい

     次のように最初の導入と技術支援をエンジニアに依頼したばあいはいくらになるでしょうか。

    • 導入で、エンジニアとアシスタントエンジニアが2日で18万円、5年償却
    • 維持管理と業務アプリケーション開発支援で、エンジニアとアシスタントエンジニアが月1日で月9万円

     さくらのVPS W8Gプランのばあいでは、ひとりで使うなら年1,235,090円5人で使うなら年1,280,690円(ひとりあたり年256,138円)、10人で使うなら年1,337,690円(ひとりあたり年133,769円)、100人で使うなら年2,363,690円(ひとりあたり年23,637円)になります。

     10万円のミニPC(電気代含まない)を3年間使ったばあいでは、ひとりで使うなら年1,160,733円5人で使うなら年1,206,333円(ひとりあたり年241,267円)、10人で使うなら年1,263,333円(ひとりあたり年126,333円)、100人で使うなら年2,289,333円(ひとりあたり年22,893円)になります。

    表にまとめてみました

     これらを次の表にまとめました。

    サーバーエンジニア1人5人10人100人
    さくらのVPS W8Gプラン頼まない年119,090円年164,690円(ひとりあたり年32,938円)年221,690円(ひとりあたり年22,169円)年1,247,690円(ひとりあたり年12,477円)
    さくらのVPS W8Gプラン導入と支援年1,235,090円年1,280,690円(ひとりあたり年256,138円)年1,337,690円(ひとりあたり年133,769円)年2,363,690円(ひとりあたり年23,637円)
    10万円のミニPC 3年償却頼まない年44,733円年90,333円(ひとりあたり年18,067円)年147,333円(ひとりあたり年14,733円)年1,173,333円(ひとりあたり年11,733円)
    10万円のミニPC 3年償却導入と支援年1,160,733円年1,206,333円(ひとりあたり年241,267円)年1,263,333円(ひとりあたり年126,333円)年2,289,333円(ひとりあたり年22,893円)

    関連

    関連する記事はnoteにもあります。

    ノーツのサポートが終わるというけれど。。。